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Talking about Temjin 747J


1ヶ月に渡って製作してきたTemjin747Jもようやく一応の完成を見ました。 今回はいつもにも増して製作時・コンテンツ化共に迷走してしまいました。 その原因なども含めて、このキッとについて語りたいと思います。

Temjin 747J face

Temjin 747J face

HASEGAWA TEMJIN 747J mindbooster

HASEGAWA TEMJIN 747J mindbooster

HASEGAWA TEMJIN 747J mindbooster

HASEGAWA TEMJIN 747J mindbooster

HASEGAWA TEMJIN 747J mindbooster

Temjin 747J with Slypner

A: 毎度苦労してるみたいけど、今回も結構大変だったみたいだね。
B: だいたい普段ロボットをあんまり作らないからね。 VF-1以来か・・・・。 キットの製作の大変さから言うと、VF-1より正直大分大変だった。 当初2機同時製作で、違うカラーリングで並べたりしたかったんだけど、挫折した。
A: もう2機目を作るのはあきらめたと?
B: いや、そうじゃなくて・・・時間的に1機に注力しないと1ヶ月くらいでは完成しそうにも無かった。 1ヶ月以上かかっちゃうと、モチベーションがどんどん落ちてしまうんだよね。 ネタとしての新鮮味もなくなるし・・・。
A: ま、確かにそーいうことはあるよね。 それじゃ、このキットの概要について語ってもらおうか。 VF-1やバンダイのMGとの比較なんかをからめつつ。
B: VF-1と比べると元のデザインの違いもあって、可動範囲が大幅に増えている。 プロポーションの破綻も無く、とりあえずハイエンドCGそっくりのプロポーションのテムジンが手に入る。 しかしスナップフィットのピンとダボの噛み合わせはいいんだけど、ピンで位置をあわせるとパーツに凄い段差が出来たりするんで、結局ほとんど全部ピンを削除することになるとか、可動に関してもマインドブースターのせいで肩の後方へのスイングが殆どスポイルされているとか、正直いまひとつツメが甘い感じがする。 マインドブースターの支持アームは、いかにも可動しそうなデザインだけど、実際はアングル固定なんだよね。 固定にしたからガッチリしてるかと言うと、そうでもなくて、接続部がわりとぐらぐらだったりして、二つのブースターを綺麗な平行に並べるのが難しい。 本当はさ、段取りを確実に積めば初心者にだって完成出来る!とか言いたかったワケよ。 ハセガワを応援している者としては。 でも、実際には300枚のデカールを貼る覚悟があったとしても、ちょっと初心者にはきついキットかもしれない。
A: 気に入らなかった?
B: いや、決してそんなことは無いよ。 完成したものに関しては、苦労に見合った内容のものが手に入る。 プロポーションを変えるような改造は一切しないで、ほぼハイエンドCGどおりの立体物になるワケだから。 この完成品が今、自分の手元にあることに大いに満足している。 ただ、スナップフィット化みたいに、初心者に対してアピールしようとしたわりには、結果として初心者にはちょっと敷居の高いキットになってしまっているところに製品コンセプトの不明確さというか、素材は良いけど料理は難しい・・・みたいなね。 そーいうのを感じるの。
A: もうちょっと具体的には?
B: 例えば全身の殆どのパターンをデカールで表現できるんだけど、だったら胸周りとか肩の天井部分とか、一応全部フォローするデカールを入れておくとかの力業を見せてもよかったんじゃないか?とか思うわけよ。 昔Gr.Cのシルクカットジャガーでやったような、あーいうの。 「ほとんど、塗装はしなくても良い」ってのはコンセプトとしては中途半端かなと。 もう一つ言うと、結果として300枚を超えるデカールで、その殆どがライン状のデカールなんだよね。 デカール自体の質が良好だったのが救いだけど、ロボットみたいな凹凸のある立体に複数の面をまたがるようにデカールを貼ったりするのは、それなりの技術がいるわけで、このあたりは初心者が挑戦してなんとかなるレベルを超えてるかも。
A: でもコンセプトの不明確さを言うなら、今回のこの"How to make a Temjin 747J"も誰を対象にしたコンテンツなのかわかんなくなってるよね。
B: 痛いところを突かれたけど、実際そのとおり。 
A: なんでそんなことになったの?
B: とりあえず、このサイトのHow to〜シリーズは「箱横のメーカー完成品のレベルの完成度を目指す」ってのが基本コンセプトで、その点はハッキリしていて、今回もそうだった。 ところがここにワナが・・・。
A: ど、どんな? 
B: 箱横の完成品を見れば判るんだけど、オレンジ色の卵型モールド(以下、卵)の部分が、全部塗装なんだよね。 メーカー完成品が塗装でやってるなら、やらぬわけにはいくまい・・・ってことになって・・・。
A: なんで、メーカー完成品の卵が塗装だとわかるの?
B: 卵の中に(`・ω・´)みたいな形の点がうってあって、デカールだと黒ベタで描いてある。 ところが箱横写真の完成品は、そこが凹モールドで、スミ入れとかもしてないから黒くない。
A: ・・・・・・・・。 で、それがなんでコンテンツ制作上の迷走に繋がったの。
B: 卵を塗装で行くということは、デカールから卵の部分を削除するってことなんだよね。 そしたら、ただでさへ沢山あるデカールから卵を削除して・・・卵を削除されたことによって強度が無くなったデカールを上手に貼る工夫を考えて・・・さらに、卵の部分は全部マスキングだ!なんてやってたら、どんどんおかしい方向に・・・。 キャラクタブルーの所も中途半端に塗装しないといけないんで、それだったら出来るところは全部塗装しておいた方が色が揃っていいじゃん・・・とか、考えてしまったワケよ。 ところがさ、アンクルアーマーとかマスキングパターンが把握できなくて結局デカールを使用するケースが結構あったりした。 そんなワケで、色換えでやる予定の、もう一機の方を全塗装でいこう・・・みたいにコンセプト変更して、さらに時間の関係でとりあえず、ノーマルカラーで一機先に完成させてコンテンツ化みたいな感じで泥沼的におかしくなってしまった。 結局出来たのは、ハセガワキット初挑戦のヒト向けのコンテンツと言うよりは、「オレの製作記録」みたいなコンテンツになてしまったのさ。 ・゚・(ノД`)・゚・
    
A: 話を製品に戻すけど、キャラクターモデルの中でのこの製品の立ち位置はどーいうところにあると思う?
B: キャラクター商品をやるとき、バンダイ・タカラ以外のロボットで、ある程度知名度があり、ディテール重視とかのハセガワ的フォーマットに合致し、かつ売れるアイテムを探すのって本当に難しいと思うんだよね。 そんな状況の中でバーチャロンは「よくぞやってくれた!」というのがファンの心理だけど、ハセガワサイドから見ると、これしかなかった・・・って感じのアイテム選択なんじゃないかと思う。 ロボットプラモの市場にはバンダイという巨大な盟主がいて、その市場に食い込む為というか、バンダイのキットのユーザーを取り込む為には、ある程度バンダイ的フォーマットの取り込みをしないといけないんだろうね。 実際の店頭ではMGこそが、ロボットプラモのデファクトスタンダードみたいな現実があるわけ。 それを無視することはできず、スナップフィット化に挑戦しているんだけど、まだ2作目だということもあり、ことスナップフィットと言う部分に絞って話せば、バンダイのレベルには遠く及んでない。 ただ、MGに比べるとヒケが少なくて表面処理が楽だとか、面の出方がCGどおりだとか、ディテールを再現する為の部品分割とかハセガワならではのフィーチャーもちゃんとある。 ただ、そーいうのは初心者が気づくような点じゃない場合が多くてさ、そーいうところで損をしてるかな。 だから、志と実際の製品の間にマッチングしてない部分がでちゃってる。 だからって、スナップフィットなんかやめろ!と言うのは簡単なんだけどやめちゃうと進歩もないワケで・・・中・上級者は対応の仕方がわかってるんだから、やはり初心者向けに間口を広げる努力の継続は必要なんじゃないかと思う。  決して初心者お断りなんてキットじゃないんだけど、ガンプラみたいに誰が作ってもある程度の完成度という商品ではない。 さっき「デカールで全部やれるようにしろ!」と言ってたこととは相反してしまうんだけど、価格が¥3400(実売¥2850前後)と、初心者が喰いついてくる価格レンジでも無いんだよね。 この辺りの「売れて利益が出せる」「製品の精度」「価格」それぞれの中庸を取ることの難しさを感じるキットだよね。 ホント。
A: 今回初の試みとしてモデリングサポートCG集が出たけど、あれはどーだった?
B: 値段が¥1500だからさ、ちょっと買うのを躊躇う値段かもしれないけど、やはり持ってると役に立つ・・・って言うか、持ってないとわかんない情報があるんだよね。 襟元の塗りワケラインをどう取るかとか・・・。 そーいう意味で製品のインストでは限界があるから、真剣に作りたい向きには必須アイテムなんだよね。 インストになんでもかんでも盛り込むわけにはいかないから、こーいう形できっちりとした資料をメーカーが用意してくれるというのは、とっても良いことだと思う。 それから、製品自体のインストもカラー化されて見やすくなった。 両方とも大いに評価したい。
A: じゃ、今後のハセガワに期待することは?
B: プレイアビリティの向上。 スケールモデルの場合はモデルそのものの出来が全てみたいなところがあって、考証はユーザーが楽しみとしてやる。 今まではそれで良かったんだけど、キャラクターモデルを売っていくには「考証の土台」または「考証の代わり」となるようなものをモデルメーカーが提供する必要があるんじゃないだろうか。 今回のサポートCG集みたいに。 例えばさ、バルキリーなんかでも"Walking around"みたいな資料本をそれぞれの機種ごとに作って出せば良いと思うんだよね。 塗装図・装備・機体の変遷みたいなのを、そーいうのが得意なライターに描かせてさ。 キャラクターキットって想像することに面白さがあるわけで、キャラクターキットを買うようなヒトは多かれ少なかれ、心の中に物語を欲していると思う。 自分の中で物語を作るにも、何か種になるものが必要なわけで、その種がキットであったとしたら、水になるものがあるとなお良いわけさ。 装備品やスタンド、デカールなんかのサポートキットの充実も大切だけど、本来の核となる製品を売る為には、バカ正直に製品の出来をアピールしてるだけじゃなくて、消費者の心の中に物語を作らせると言う様な、製品に魅力を付加していく作戦が必要なんじゃなないだろうか。   

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