A: | 話を製品に戻すけど、キャラクターモデルの中でのこの製品の立ち位置はどーいうところにあると思う? |
B: | キャラクター商品をやるとき、バンダイ・タカラ以外のロボットで、ある程度知名度があり、ディテール重視とかのハセガワ的フォーマットに合致し、かつ売れるアイテムを探すのって本当に難しいと思うんだよね。 そんな状況の中でバーチャロンは「よくぞやってくれた!」というのがファンの心理だけど、ハセガワサイドから見ると、これしかなかった・・・って感じのアイテム選択なんじゃないかと思う。 ロボットプラモの市場にはバンダイという巨大な盟主がいて、その市場に食い込む為というか、バンダイのキットのユーザーを取り込む為には、ある程度バンダイ的フォーマットの取り込みをしないといけないんだろうね。 実際の店頭ではMGこそが、ロボットプラモのデファクトスタンダードみたいな現実があるわけ。 それを無視することはできず、スナップフィット化に挑戦しているんだけど、まだ2作目だということもあり、ことスナップフィットと言う部分に絞って話せば、バンダイのレベルには遠く及んでない。 ただ、MGに比べるとヒケが少なくて表面処理が楽だとか、面の出方がCGどおりだとか、ディテールを再現する為の部品分割とかハセガワならではのフィーチャーもちゃんとある。 ただ、そーいうのは初心者が気づくような点じゃない場合が多くてさ、そーいうところで損をしてるかな。 だから、志と実際の製品の間にマッチングしてない部分がでちゃってる。 だからって、スナップフィットなんかやめろ!と言うのは簡単なんだけどやめちゃうと進歩もないワケで・・・中・上級者は対応の仕方がわかってるんだから、やはり初心者向けに間口を広げる努力の継続は必要なんじゃないかと思う。 決して初心者お断りなんてキットじゃないんだけど、ガンプラみたいに誰が作ってもある程度の完成度という商品ではない。 さっき「デカールで全部やれるようにしろ!」と言ってたこととは相反してしまうんだけど、価格が¥3400(実売¥2850前後)と、初心者が喰いついてくる価格レンジでも無いんだよね。 この辺りの「売れて利益が出せる」「製品の精度」「価格」それぞれの中庸を取ることの難しさを感じるキットだよね。 ホント。 |
A: | 今回初の試みとしてモデリングサポートCG集が出たけど、あれはどーだった? |
B: | 値段が¥1500だからさ、ちょっと買うのを躊躇う値段かもしれないけど、やはり持ってると役に立つ・・・って言うか、持ってないとわかんない情報があるんだよね。 襟元の塗りワケラインをどう取るかとか・・・。 そーいう意味で製品のインストでは限界があるから、真剣に作りたい向きには必須アイテムなんだよね。 インストになんでもかんでも盛り込むわけにはいかないから、こーいう形できっちりとした資料をメーカーが用意してくれるというのは、とっても良いことだと思う。 それから、製品自体のインストもカラー化されて見やすくなった。 両方とも大いに評価したい。 |
A: | じゃ、今後のハセガワに期待することは? |
B: | プレイアビリティの向上。 スケールモデルの場合はモデルそのものの出来が全てみたいなところがあって、考証はユーザーが楽しみとしてやる。 今まではそれで良かったんだけど、キャラクターモデルを売っていくには「考証の土台」または「考証の代わり」となるようなものをモデルメーカーが提供する必要があるんじゃないだろうか。 今回のサポートCG集みたいに。 例えばさ、バルキリーなんかでも"Walking around"みたいな資料本をそれぞれの機種ごとに作って出せば良いと思うんだよね。 塗装図・装備・機体の変遷みたいなのを、そーいうのが得意なライターに描かせてさ。 キャラクターキットって想像することに面白さがあるわけで、キャラクターキットを買うようなヒトは多かれ少なかれ、心の中に物語を欲していると思う。 自分の中で物語を作るにも、何か種になるものが必要なわけで、その種がキットであったとしたら、水になるものがあるとなお良いわけさ。 装備品やスタンド、デカールなんかのサポートキットの充実も大切だけど、本来の核となる製品を売る為には、バカ正直に製品の出来をアピールしてるだけじゃなくて、消費者の心の中に物語を作らせると言う様な、製品に魅力を付加していく作戦が必要なんじゃなないだろうか。 |